nega

髪の短い女子がいた
いつも楽しそうに笑っていた
嬉しいと手を叩くという変わった癖の持ち主だった
ほとんどの男子より足が速かった
放課後は校門でいつも誰かを待っていた
まだ何も知らなかった頃のきみがいたんだ
ぼくもそうだった
思い出さなくてもいい事や知らなくてもいい事


何年経っても井の頭線渋谷駅のホームに降りた時の匂いは変わらない

渋谷駅構内を歩きながらiPodで久石譲を聞いていた
周りの胡散臭い連中や自己中心的な行動しかとれない奴らの価値の無い言葉を聞きたくないから
価値が無いものが自分の中に入ってきた時にそれがマイナスを生産するんだから困ったもんだよね
泣いちゃった、情けない
恥ずかしいな
って
なんでそう思ったの?


年を取る中、環境に流されるだけで大人になった奴らもいたって話だ
そりゃ理解出来ないわ
おまえの考えてる事、性格や趣味趣向
おまえも理解出来ないだろう?おれの考えてること、性格や趣味趣向
おれはぼくやおまえを知る事はない、ない、なーい
だって違うんだもん
でもみんなきみと同じ様に生きてるんだよ
それくらいわかるだろう、サイコじゃないんだから


結局世界はちっとも美しくなんかなかった
走馬灯は無限にループする途切れないテープだって
途切れたら
願っても叶わない

そう
井の頭線渋谷駅のホームに、
どこにも行けないぼくがまだいる