instant

もう二度と戻らない時間に思いを馳せる。

写真に残っていない思い出も記憶の中では匂いまでも思い出せるほど明瞭に残っている。

 

あの町は今も変わらず、きっとそこにある。

この足で向かわないだけで、変わらずに。

 

思い出が、現実に上書きされるのが怖いから、

変わってしまった事を受け入れられないから、

ひとり、ただ、ぼぉっとしている。

わかっているのに。

 

そこにはあのコロの、ぼくたちや、わたしたちがいる。

 

既に終わった時の中で、

笑っている。

泣いている。

怒っている。

 

今もまだ、生きている。

 

美しいまま、

そのままで、

永遠に、

私が忘れるまで、

そのままで。

 

当時気付けなかった事に今更になって気付いたって、もう戻れはしないから。