待っていた

ふと、泣きそうになる。
こんな事、これまで無かったのに。
私に一体どんな変化が訪れたというのだろう。
街中で突然涙を流してる人がいたら可笑しいでしょう?
だから我慢するの。親指の爪を人差し指の腹に食い込ませて。
それでも堪えられないならば下唇を噛んでみせる。可笑しいでしょう?

ああ、今日まで生きていて良かったな。なんて素晴らしい一日なのだろう。これまでの全てが報われ、これからの全てが開かれた。そして永遠の意味を知った。ここできみは待っていたんだね。今までどうして気付けなかったのだろう。こんなにも簡単な事であったなんて。

きっと次こそは上手くいくはずなんだ
ぼくは人知れず、きみの痛みを知ったよ
だからきっと、次こそは
でも
今更、だよね
ぼくには何も無い
きみを幸せに出来ない
なんて、仕様も無い事を考えている
二十歳になれたのはきみのおかげで、つまりは今日まで生きてこれたのはきみのおかげで、
ぼくはきみに何を返せただろうかと考えた時、とても情けない気持ちになってしまうんだ

帰れたらな、
と思ってしまうんだ。
これはぼくの罪だ。