「hiraeth」公開に際し

「hiraeth」という曲をサウンドクラウドに公開しました。

普段ボカロ曲を公開する際は、動画を作ってニコニコ動画に投稿してるのですが、
この曲は少しでも早く公開したかったのでサウンドクラウドにアップした次第です。


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https://soundcloud.com/nononock/hiraeth

ーー歌詞ーー

おはよう、ぼくの知らない命。
きみにはまだ名前は疎か、身体すら無い。
此の景色を見たなら何を想っただろう。
此処で一緒に生きていたなら笑っていただろうか。

死んでしまいたくなる度に麻酔を打ち、騙し騙し生き存えてきたけど、
辿り着けない、いつ迄経っても。

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hiraeth(ヒラエス)という言葉を知ったきっかけは、水瑛というシンガーソングライターの方が「ヒラエス」という曲を作っていたからです。

https://soundcloud.com/suw-210757839/pq56bsap2vzt

この言葉は、「翻訳できない世界のことば」という本の中で紹介されている単語の一つで、ウェールズ語で
『帰ることができない場所への郷愁と哀切の気持ち。過去に失った場所や、永遠に存在しない場所に対しても』(解説文より抜粋)
という意味を持つ。

「過去に失った場所」、「永遠に存在しない場所」、これらは正に自分が今まで思い描いていた世界を表していました。
この単語を知った時、とても救われた様な気持ちになりました。
ずっとこの言葉を求めていた様で。


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「hiraeth」について


去年末、相当精神がぐちゃぐちゃだった時期にこの曲を作っていた。
文字に起こすとそれだけになってしまうが、ここだけの話、本気で死ぬ事を考えていた。

この曲が完成した時は、自分のこれまでのぐちゃぐちゃでどろどろと煮詰まっていた感情を形に出来た気がして、とてもすっきりした。
普段も、歌詞が降りてきたりメロディが思い付いた時にも同じ様にすっきりするのだが、今回のは今までと違ったものであった。
なんというか、とても静かで澄んでいたのだ。
そして同時に、とてつもなく哀しかった。
この曲は自分にとっての最期の曲になるだろう、と思った。
今までに作った事の無いタイプの曲でありながら、最高傑作の様に感じた。
この短い歌詞に、この4分ちょっとの曲に、自分の全てを確かに込められた手応えがあった。
だからこそ、この曲を公開したらこれ以上やる事は何もない、この曲を残せたならもう全てを終わらせてもいい。
そう思える位の達成感、そして全てを出し切ったが故の虚無感に襲われた。
もう全てを終わらせよう、と本気で考えた。
今まで終わらせる事が出来なかった事に、自らの手で終止符を打つ事が出来る様、この曲に背中を押されている気がした。



曲自体が完成してから数ヶ月が経った今、ミックスに苦戦して一時期放置していたのだが、やっと完成に至り公開する事が出来た。
本当にこの曲を公開してしまってよいのか?という葛藤が作業を停滞させていた様に思う。
しかし、私は生きる事を選んだ。
だからもう躊躇する必要は無いんだ。
そう思い、公開に至った。

そして、この曲を表題曲にしたセカンドアルバムを作る事を決めた。
辿り着くべき場所、還るべき場所はまだわからないし、生きる事が正解だとは決して思っていない。
それでも生きる事を選んだ。
行ける処まで行ったその先に、本当に還る場所がある事を願って。


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長くなりましたが、読んでくれた方、ご視聴頂いた方、ありがとうございます。
読んで頂ければ分かるかと思いますが、「hiraeth」という曲は私にとってそれだけ思い入れの詰まった曲となっています。
まぁなんやかんや言いつつも、今回の記事は、「hiraeth」に対する私のサイドストーリーでしかありません。
聴いてくれた方が聴いてくれた方なりに解釈し、位置付けし、思考を巡らしてくれたなら、それだけで私は幸せでございます。
あなたがこの曲を聴いて生まれたあなたのサイドストーリーをいつか聞かせて下さい。

今はサウンドクラウドにしかありませんが、是非、沢山聴いてください。

本文中にも載せた通り、「hiraeth」を表題曲に、今年中にセカンドアルバムを出そうと思っているので、その事も心の隅に置いていてくれると嬉しいです。

ファーストアルバムの「コウカイの便り」も好評発売中ですので、そちらも是非手に取ってください。
(購入/視聴はこちらから)

それでは。